23区に唯一残った非電化貨物線
越中島貨物線
<全3作>
#1 街並み編
#2 一日の流れ編
#3 新小岩操駅の一コマ
What's 越中島貨物線?
越中島貨物線は、東京都江戸川区の小岩駅から、同江東区の越中島貨物駅へ至る、全長11.3kmの総武本線の支線です。このうち、小岩~新小岩操間は総武本線や同じく貨物支線である新金線と重複しており、また新小岩操~亀戸間は総武本線に並行しています。よって、本路線の単独区間は亀戸~越中島貨物間となります。総武線を利用したことのある方なら、亀戸付近から南へ延びていく高架線に疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。その正体が、この越中島貨物線です。
もともとは小名木川の水運と連絡するため、1929年に亀戸~小名木川間が開業、戦後東京都港湾局が晴海・豊洲地区に専用線を開設したことを受けて、1958年に小名木川~越中島(現・越中島貨物)間が開業します。開業以来小名木川駅は、城東地区の物流拠点として栄え、1972年までは江東区南砂に汽車製造の工場があったことから、専用線を通じて新型車両の甲種輸送が全国各地へ向けて運転されていました。また越中島駅は、当時工業地帯であった晴海・豊洲地区から都港湾局の専用線を出入する貨物列車の中継地点として重要な役割を果たしてきました。しかし鉄道貨物輸送の衰退に伴い、都港湾局専用線が1989年に廃止、また小名木川駅も2000年に隅田川駅に集約される形で廃止され、現在では越中島貨物駅にある東京レールセンターから発送されるレールを輸送する工事列車が運転されるのみとなっています。その工事列車も必要に応じて最大3往復運転されるのみなので、この線路を列車が走っているところを見た方は少ないかもしれません。
現在の運行形態
先述の通り、現在はレールを輸送する工事列車が午前、正午、午後に各1往復ずつ設定がありますが、工事のスケジュールと連動しているので、必ずしも3往復すべてが運行されるとは限りません。レール輸送のためだけに存在しているといっても過言ではないため、レール輸送の需要がない場合は単機回送または運休となりますが、JR東日本やその周辺の私鉄で使用するレールの輸送を一手に引き受けているからか、平日は臨時列車含め3往復すべて運転されることが多いです。事実数回に分けて撮影に行きましたが、各日とも3往復運転されていました。この他年に数回、キヤE193系「East-D」による検測列車が運転されています。
けん引機関車は高崎車両センター所属のDE10形ディーゼル機関車が専ら使用されます。貨車は主に幕張車両センター所属で越中島貨物駅常備のチキ5500形(主にロングレール輸送)、チキ6000形(主に定尺レール輸送)等が使用されています。2016年からは船舶輸送に代えて、JR貨物に在籍し新日鉄住金物流八幡が所有するチキ5500形も乗り入れています。また2021年3月からは、従来の機関車列車に代わってJR東海のキヤ95形をベースに製造されたキヤE195系が運用されています。
小名木川駅があった頃はD51形蒸気機関車やDD51形ディーゼル機関車などが使用されていました。また貨車も古くは有蓋車から末期はコンテナ車まで、多彩な貨車が行き交っていました。